意外と頭を悩ませる過積載管理
建設工事では、過積載の問題は切っても切り離せない問題だ。
建設資材や重機の運搬など、過積載の管理は非常に重要で、検査でも過積載管理の項目は必ず問われる。
運送会社では、資材等の納品伝票に必ず重量の記載があり、運搬した車両ナンバーと車検証で積載量以下であることを証明できれば、管理上OKとなる。
では、過積載の管理上、どこで悩むのだろうか。
空隙率を加味した管理方法
多くの監督者が悩むのが、コンガラなどの産廃処理時の過積載管理ではないだろうか。
普通にダンプの検収を行なって、m3をt換算して、積載量の写真を撮影すれば良いと思う方も多いだろうが、ここで重要なのが空隙率である。
残土などと違って、コンガラを積載した際には当然、空隙が発生している。この空隙率を加味した管理方法を検査官は指摘してくるのだ。
重さで管理するのが正解?
現場では、自重計をリースして重さで管理している方も多いのではないだろうか。
重ささえ分かれば空隙率などを考えずに、単純に積載重量との比較で管理することができるため、考え方としては非常に楽である。搬出を行う日に1回自重計にて重量を測定し、管理記録として記録、写真による証明が一般的だ。
この場合は、測定した日付、計測した時刻、車両の番号、自重計の製造業者名、車両の最大積載量、計測値、是正措置の方法、計測した者の氏名が明記されていれば十分だろう。
荷姿の写真はどのように撮影する?
自重計までは、監督者ならば多くの方が実施していることだろう。特に大手では、会社として必ず実施させる企業も存在する。
だが、検査の際に意外と指摘を受けることが多いのが、荷姿写真の撮影方法だ。
重量の管理で過積載管理証明ができているからといって、荷姿の写真をただ撮影して終わっていないだろうか?もしそれで今まで突っ込まれなかったのならば、非常にラッキーである。
荷姿写真は、ただ単純に荷姿の写真を撮るだけでなく、過積載をしていないということを証明できる写真じゃなければならない。では、具体的にどのように写真を撮影すれば良いのだろうか。
これも監督者によって変わるのだが、コンガラの場合は、空隙率を加味して、ダンプ検測の値と最大積載量の数字から具体的な積載可能高さを算出するのだ。
中には、最大積載量÷荷台延長÷荷台幅÷空隙率といった計算式で、積載可能高さを出している人もいる。その場合、積載可能高さを検測で実証することで、写真撮影時もその値の数字以下という撮影をしておけば、一目で遵守しているとわかる。
重要なのは、写真で、過積載をしていないということが一目でわかるようにしておくことだ。
正解はないが根拠をもって説明する
過積載の管理方法に正解はない。しかし、必ず問われるところなので、根拠をもって説明できるように、細かな部分まで管理しているという証明が必要だ。
写真撮影ひとつとっても、全く状況がわからない写真をつけられて過積載していませんと言っても、写真の真偽が不明ならば、それは管理したことにならない。過積載の写真を撮影して、ダンプ検測をしていても、車検証がついていなければ、その車両の最大積載量を証明できない。
「そんなの当たり前じゃないか」と思うかもしれないが、過積載でポカがあることは少なくない。ここでミスがあると、検査官からの目もより一層厳しくなる可能性が高い。
積載量以上の物を積ませないだけの管理もできないとなると、その後の検査も厳しい目で見られるのも納得ではないだろうか。
過積載管理は、残土などの空隙率がないものに関しては、そこまで深く考える必要はない。ダンプの検測、荷姿の写真撮影、自重計の計測を行っていれば十分ではないだろうか。しかし、コンガラやゴミといった空隙率のある運搬の際には、その管理方法に一工夫が必要だ。