建設業は、無形物を提供している(施工の神様)

考えさせられた2記事の共通点

「施工の神様」を読み続けていると、うーんと考えさせられる記事に時々出会う。最近はこの2つの記事だ。

①国道57号の北側復旧ルートと現道部が開通!土木業界の仕事や努力が報われる瞬間

②建設業界は”サービス業” 発注者の心理を意識してますか?

読んでみて、視点は異なるけれども根っこは同じなんじゃないか?と思った。

①の記事は災害復旧事業が完成し、地域の人に貢献できたという記事。②の記事は発注者の信頼を勝ち取るにはどうするかという記事。人によって捉え方や見え方は異なるけれども、筆者はそう捉えている。

この2つの記事に共通するのは、”サービスしている”ということではないだろうか。

“サービスしている”とは、どういうことか?

ウィキペディアで調べてみると、サービスとは「経済用語において、売買した後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、形のない財のことである。第三次産業が取り扱う商品である」と書いてある。

ということは、サービスの中には建設業や製造業などのモノづくりは当てはまらないということになる。しかし、筆者はそう思っていない。建設業はモノづくりを通して、「形のない財を提供している」と考えているからだ。

たとえば、①の記事『国道57号の北側復旧ルートと現道部が開通!土木業界の仕事や努力が報われる瞬間』では、道路整備を通して被災による不便さを解消し、さらには広域の経済発展や交流活発化、観光活性化という「形のない財の提供」につながっていると言えるのではないだろうか。

道路に限ったことではない。河川の堤防改修の場合は、堤防を強化することで周辺地域を水害から守るという「形のない財」を提供することが目的である。堤防は目に見えるものだが、「災害から守る」というのは災害が起きるまでは目に見えない。(起きてほしくないけれども)災害が起きてはじめて、その大切さや重要さに気づく。

先日の熊本県での水害は、川辺川ダムの有無について議論が起こっていたが、ダムがあればどうかというのは別にして、何かしら対策をとっていれば被害が軽減されていたのではないか、というのは当然の議論だろう。水害が起きるまでは、目に見えることではないからだ。

施設を利用する人のことを考える

建設業はモノづくりの仕事だ。言い換えると、「モノづくりを通してサービスする」のが仕事だ。

公共の利益に資するものを造り、利便性や安全性を提供する。利便性や安全性というのは、目に見える財ではない。一括りに安全性といっても、何がどのくらい安全なのかが形となって見えるわけではない。

しかも、それらは施設ができて、利用する人がいて、利用する人がどう感じるか?による。どう感じるか?は人それぞれであり、便利だと感じる人がいれば不便だと感じる人もいる。定量的に判断できる要素ではない。

技術者や作業員からすれば、「造ることが仕事である」と考える人も多いだろう。それはその通りだ。私も同感である。一方で、”利用する人がいる”ことも頭に置いておいたほうがいい、とも考えている。当たり前と思うだろうが、その当たり前が日々できているかどうかを今一度考えてみてほしい。

技術者や作業員の中には、”利用する人”のことを見据えて仕事に向き合っている方もたくさんいる。いくつかの仕事先の中でお見かけしたことがあるが、そういう人をみると心身が引き締まる。お話を伺うと「この施設を造ることを通してサービスしている」ということをおっしゃっていた。この言葉を聞くたび、納得していたし、せざるを得なかったのを覚えている。

やはり、建設業はモノづくりを通してサービスする仕事である。読者の皆様はどう思われるだろうか。ぜひご意見を伺いたい。

施工の神様

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