大手舗装会社の給料が高いカラクリ
私が所属していた大手舗装会社は、建設業の年収ランキングで、常に上位にランクインしていた。なので、同級生に会うと「お前、給料高いんだから奢れよ」とよくたかられていたものだ。
だが、実情はそんな平和なものではない。なぜ年収が高いのかを考えなければならない。年収が高い理由は、それだけ残業手当や深夜手当が多く過酷だからだ。
基本給は普通のサラリーマンとなんら変わりなく、むしろ低いくらいだが、残業や深夜勤務が多すぎて、年収が高くなってしまう…。
舗装会社の社員は兵隊
舗装会社は兵隊みたいなものだ。毎年多くの新卒を過剰なまでに入社させ、その中から辛うじて生き残った者が会社を支えているという実情がある。
私の会社では、新卒入社の同期は50人ほどで、5年後に残っているのは3人。ゼネコンも同じようだと聞く。
建設業界全体が「1人でも残れば儲けもの」と言わんばかりに大量採用し、多くの若者が退職していくのを見届けている。
こうした現状を放置したままでは、建設業に対して嫌悪感(あるいは敵意)を抱く若者が増えていく。建設業界全体の問題ではないだろうか?
舗装会社「工事部」の地獄
多くの大手舗装会社は、「工事部」「材料部」に分かれている。
工事部はその名の通り、舗装工事を担う部署。材料部は、舗装に使用する材料を製造販売している部署だ。(今回は工事部に焦点を当てるが、どちらに配属されたとしても地獄であることは変わりない。)
工事部に配属されると、新人は寮への入所がほぼ強制される。寮は家賃が光熱費込みで3,000円程と激安。新人は金が貯まって仕方ない。だが、寮は事務所の真上の一室だったり、事務所の目の前だったり、常に仕事モードでいなければならいないような環境で、新人は可哀そう。
しかも、職場以外でも先輩と絡まなくてはならず、壁も薄いのでプライバシーはない。よくネットで言われるような蟹工船、タコ部屋と気分的には変わらない。いい先輩がいれば天国だが、クソみたいな先輩もいるので安心できない。
舗装会社の社員の一日
大手舗装会社での一日の動きは、次の通りだ。
7:30 朝礼
8:00 現場作業開始
12:00 昼休憩
13:00 現場作業再開
17:30 事務所戻り
ここまで見ると、普通の建設業と変わらないと思うだろう。だが、その後も仕事は続くことがある。
19:30 夜間現場
24:30 事務所戻り
25:00 現場書類作成開始
常に人手不足で、睡眠すらまともにとれない状況が続く。しかも、休みの日ですら休日出勤の名のもとに仕事が入ってきて、まともに休めない。
夜間工事を全面撤廃
多くの新人は建設業の仕事に嫌悪感を抱いて辞めていく。大手の求人サイトを見ても、道路関係の施工管理の求人が多い。
政府が一生懸命、建設業の人材不足を何とかしようと動いたところで、すぐに対応できるわけではない。抜本的な改革が必要なことは明らかだ。
今、業界で流行している「週休2日制」の徹底は当然だが、私は発注側による「夜間工事の削減」も必要だと考える。企業側だけでなく、役所側にも努力していただきたい。
今こそ、夜間工事をやめるべきだ。
昼間の工事だけでは、交通に支障をきたし、さらに工期も間に合わないという反論は想定内。むしろ、建設業が一体となって、そういう古い常識をくつがえすべきではないだろうか?