皆さんの周りにも優秀と感じる人は存在するだろう。仕事が早い人、市役所との折衝がうまい人、高得点を毎回たたき出す人など。
人によって優秀という定義は違うかもしれないが、今回は、私が出会って優秀だと感じた2人を紹介する。
一切残業をしない現場監督
1人目は、一切残業をしない現場監督だ。(竣工前の書類作成は別だが)
現場監督の仕事と言えば、残業は当たり前というイメージが強いと思う。現場作業が終わってからが仕事と考える人も多く、残業を全くしないというのはある意味不可能に近い。
しかし、私が出会ったこの現場監督は一切残業をしていなかった。現場が終わればパソコンをしまい、颯爽と帰宅する。それなのに竣工書類作成時など、仕事が溜まっている様子もない。
不思議に思い、どうして残業をしないのかと尋ねてみた。すると、こんな返答が返ってきた。
「残業はなんの生産性もない。人間の集中力はそんなに長い時間持たない。限られた時間内でどれだけ密度の濃い、いい業務をするかにかかっている。そこから何時間だらだら仕事をしても体を壊すだけだ。」
とはいえ、現実的になぜそんなに要領よく業務をこなせるのか。
気になって質問すると、「今の時代、これだけ便利なツールがたくさんあるのに、本当にそれを使いこなせている人間は少ない。だから、時間の効率化が全く進んでいない。」とキッパリ。
確かに、会社で導入しているソフトを一部しか使用しないという方も多いのではないだろうか。私もその一人だ。彼のように、最先端ツールを常に勉強し業務に取り入れることができれば、残業を全くしなくてもいい未来が来るかもしれない。
現場のために身銭を切る現場所長
ほとんどの人は現場の経費で材料などを買うだろう。しかし、現場のためならばと、潔く身銭を切る人と出会ったことがある。
その現場では、延長が100mほどの擁壁を設置する工事を行っていた。しかし、施工会社の材料が30m分くらいしかなく、30m型枠を組んでは生コン打設、型枠脱型、そしてまた型枠組立を行うといった、工程が伸びる施工方法をせざるを得ない状況だった。
会社は材料費などを買うことには否定的で、協力会社も型枠を新しく買うことは経費上したくないという雰囲気だった。
しかし、現場所長の勢いある行動が状況を一変する。
自らのお金で型枠材を買い、会社に事後報告したのだ。身勝手な行動にも見えるが、現場所長は「買ってしまったから仕方ないですよね。仕事も前に進みませんし、間違った選択ではないです。」と言い放った。
結果的に工程がグッと縮まったことで、会社側も文句を言えず、彼の選択は半強制的に正解となったのだった。
優秀な人材の共通点
優秀な人材には共通点がある。それは、とにかくポジティブということだ。
現場で起こる様々な問題に直面したときに、彼らは前向きにそれらを捉えることができる。職人に理不尽なことを言われたときでさえ、笑いながら「色んな人がいるなー」と流すことができる。問題を抱え込まない。うつ病や精神疾患にならないようにうまく対処できていると言える。
優秀な人間は自己管理があってこそだ。ポジティブさは、どんな仕事においても必要な要素だと感じている。現場監督には、現場で発生するありとあらゆる責任が重くのしかかってくる。それを笑って乗り越えられるくらいの精神力は持ち合わせておきたいものだ。
今回は、私が出会って優秀だと感じた2人を紹介したが、人によって優秀の定義は違う。自分の理想とする人のようになれるよう、努力を惜しまないことが大切だ。