公共工事の施工管理は、図面手直し地獄の被害者(施工の神様より)

土木施工管理技士の私は、土木業界で働いているので、仕事は全て公共工事だ。ゆえに、公共事業特有の図面手直し地獄にあっている被害者の1人でもある。

若い頃、先輩に「図面の手直しは自分たちの仕事だから書き換える癖をつけるように」と耳にたこができるくらい言われたものだ。若い時に膨大な図面を手直ししたおかげで、今では図面の修正を行うスピードは格段に上がった。

しかし、今になって毎日疑問に思う。図面の手直しは果たして我々施工管理者の業務なのか・・・?と。

図面を直すのが仕事ではない

施工管理の仕事は工事を完工まで導くことである。普通に考えたら、図面の手直しはCADオペレーターなどの仕事だ。

工事を受注して思うことは、まず図面が適当すぎる。そして、それが当たり前と考えられていることが問題ではないだろうか。

土木従事者ならば分かると思うが、最初の段階で渡される図面は、全くと言っていいほど当てにならない。平面図と断面が一致していない、現実的に施工不可能な図面ばかりだ。

それらの図面を使える図面に書き直すことから、施工管理の業務は始まる。

発注図面はあってもないようなもの

図面に座標を持たせることや、施工を進めていく中で起こる問題に対処することは、確かに私たちの仕事だ。

だが、最初にもらった図面をほとんど作図し直すことは、いくら考えても馬鹿げている。発注図面はあってもないようなものだ。

整合性のとれた発注図面をもらうことができれば、施工管理の業務がどれだけ効率化できるかは言うまでもない。こんな不毛な仕事が当たり前とされていることが、この建設業界のブラックなイメージを招いているといっても過言ではない。

矛盾だらけの公共工事

ここでもう1つ考えてみてほしい。発注者が出した発注図面をもとに施工し、仮に間違えてしまった場合、全責任は請負者にあるという考え方もおかしくないだろうか。

「あ」と書きなさいと指示をされて、「あ」を書いたら間違っていて、自分が怒られるという矛盾だらけの現象が当たり前のように起きている。

発注者が用意した図面がデタラメなのにも関わらず、それが原因でミスをしたら、請負者がペナルティを受ける。冷静に考えて、おかしい風潮だ。

「まともな図面」を届けてくれるだけでいい

何度も言うが、施工管理の仕事は図面の修正ではない。発注者からの工事を設計通りに完工させることだ。その上で必要な修正は施工管理が行わなければならないことは理解している。

しかし、あまりにもデタラメな図面を突きつけられ、それを現場の業務と並行して何日もかけて修正しなければならない我々に身にもなってほしい。

現場に出ていないからといって、「まともな図面が書けません」「現場にそのようなものがあるのは想定外でした」と言い逃れをするコンサルも多いが、その程度の間違いのレベルではない。横断や平面と睨めっこして、何日もかけて1から修正しなければならないレベルのものばかりだ。

我々施工管理が図面を書き換えて設計するのならば、コンサルの仕事は何?と問いかけたくなる。コンサルがもっと現実的なまともな図面を持ってきてくれれば、どれだけ施工管理の負担が減ることか。

施工管理者として、図面の手直しを当たり前に行なっている人からしてみれば、私の発言は「甘え」と思う人もいるかもしれない。しかし、こういう不毛な業務を改善しない限り、施工管理の業務量や働き方が改善されることはない。

図面を発注する際には今一度、整合性のとれた「まともな図面なのか」を確認し、施工管理の元に届けてほしいものだ。

 

施工の神様

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