施工の神様

事故が起きるたびにポスターを作りまくるゼネコン。紙っぺらで事故が減らせるか!

施工の神様

紙っぺら1枚で事故が減らせると思ってるのか?

今、私はプラント現場にいる。担当している建築土木は既にほぼ完了している。

現場の建築・土木を実際に請け負って工事しているのはサブコンに入っているスーパーゼネコンだが、話を聞くと最近では事故が連続して起こり、その連鎖が止まらず、本社内はその対応でバタバタの状態だという。

そう言ってる矢先に、また墜落事故が起きたと聞いた。

今まで多くのゼネコンで働いてきたが、今の現場のゼネコンほど事故が起きるたびに、新たな標語やポスター、掲示物を作るゼネコンを私は知らない。そして、それを現場事務所内や会議室に貼り、出入りの業者にその内容を 半ば押し付けるように強要している。

今や、打ち合わせ室の壁面は新たに作った掲示物で4面が埋め尽くされている。

現場の職員も、本社から「絶対守らせろ!」と厳命されてるらしく、同じことを何回も繰り返し作業員に伝えている。

正直言って、私は飽きれている。

紙っぺら1枚で事故が減るなら、そんなに楽なことはない。

一律の規則でがんじがらめ!

現場現場で事情は違う。それを本部の机の上で考えたルールで、全部一律に「ああせい、こうせい」「これはやるな、あれはやるな」と強要すればするほど、言われたほうはがんじがらめに縛られ、臨機応変な対応が出来なくなってしまう。

それでも、プロならば言われたことを微調整しながら、場合によっては自分たちの工夫を加えて安全対策をしているはず。だが、それさえも指示したことと違うなどと文句を言われたら、作業員は単なるロボットになってしまう。

ましてや、経験の浅い作業員などは自分で考えず、現場の状況がどうであれ、指示されたことをとにかく実行するだけで精一杯になる。自分で考えることを止め、言われたことしかやらなくなる。そして、これは安全に関してだけでなく、作業全般がそうなってしまう。

安全の基本は、自分の身は自分で守ることで、他人が何と言おうと「危ないからなにかしよう!」と思ったら、それを実行し、自身で納得した形で作業をするのが基本だ。

もちろん、こうした安全対策は空振りに終わることが圧倒的に多い。だが、それでいい。現場監督たちは、間違っても「余計なことをしやがって」と責めてはいけない。それを責めたら、作業員の自主性が失われてしまう。空振りOK!と、ハッキリ作業員に伝えるべきだろう。

現場の作業員をプロフェッショナルと認め、まずは彼らの自主性や意見を尊重する。一方的な押し付けではなく、その現場の状況を良く知っている作業員たちが主張することを最優先すべきだ。

細かい指示をするのは、本来その後にすべきだ。最初は基本的な注意だけに留めるべきだろう。

ゼネコン本部からの提案もいいが、その都度作業員が納得する内容でなければならない。

ついつい、最初から細かいことを指示してしまうことも多いが、基本的な順序を常に念頭に置き、作業員自身が考えるような指導が基本だ。

カネが掛かる安全対策は先延ばし

上にも書いたが、作業員はプロとして扱わなければならない。この考えがないと、事故は永遠に減らないだろう。

どんなに注意しても起こる事故もあるが、それさえも事前にヒヤリハットの予兆がある。それを見逃せば、事故は起こるべきして起こる。

だが、安全担当からの提案にしろ、作業員からの提案にしろ、「大げさな。なにもそこまでしなくても大丈夫だろう」と上層部が出費を惜しみ、結論を先延ばしすることも多い。口では「安全第一」と言いながら、いざ出費が嵩む場合や工程に影響が出る場合は、本社サイドはいい顔はしない。

こればかりは会社の姿勢そのもので、現場の中だけではどうにもならない。安全担当が外注の人間の場合は、なおさら取り合ってもらえないことがある。

色々な会社があるが、現場の技術者上がりが上層部に多い会社は、比較的現場の声を大事にするが、そうでない場合は利益第一主義になり、現場の声は黙殺されることが多いように感じている。横並び意識が強く、「他の現場では、そんなことやってないだろう」「ここの現場だけ、そんなことやるわけにはいかない」「ちゃんと法令順守している。それ以上は過剰装備だ」などなど、もっともらしい言葉が並ぶ。

そもそも安全は、その現場現場で先々の万一の危険要素を予想しての対策だ。結果として、基本的なことは重なるが、本来ほかの現場と比べるもモノではない。同じになっても、それは結果として同じになっただけだ。だから、他の現場と同じでいいという発想そのものがオカシイ。

実際に作業をしてる人間が「危ない!」と感じたら、それを声に出せる現場であること、そしてその声が所長にまでしっかり届き、それを聞いた所長が反応する現場であることが、安全な現場と作るために最も大切なことだ。


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