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コンクリート温度は「35℃」を超えても問題ない?「38℃」までOK?

施工の神様Posted 2018.03.17
施工の神様

夏場の生コン打設「暑中コンクリート」について

温暖化が進んだ昨今、夏場の外気温が体温よりも高くなることも増え、建設現場での作業環境も過酷さを増してきています。そのような夏場の施工では、作業員の熱中症対策や適度な休憩などの計画も重要ですが、生コン打設に関しても様々なことに注意を払い施工計画を立てなければなりません。

一般的に、日平均気温が25℃を超える時期に施工する場合は、暑中コンクリートとして考慮しなければならないとされています。気温が高く日射も厳しい夏場では、必然的にコンクリート温度が上がります。コンクリート温度が高いと、運搬中のスランプ低下、コールドジョイントやひび割れの発生、強度や耐久性の低下といった問題に繋がるのです。そのため、JASS5や標準示方書において、生コン荷下し時点でのコンクリート温度は35℃以下とされています。しかしこれは「原則として」や「標準とする」という書き方がされており、曖昧な表現になっています。

ちなみに、JASS5や標準示方書では「〜ならない」が最も強制力のある表現で、その次が「原則とする」「標準とする」、最後に「〜が望ましい」という順番なのです。このように曖昧な表現に留められていることと、実際の外気温の上昇に伴うコンクリート温度の上昇が、近年全国各地で問題となっています。荷下し時点で35℃を超えたことで生コンが返納されたりするケースも見られます。では果たして本当に35℃を超えると生コンはダメなのでしょうか、逆に生コン屋はどうやって35℃以下を保っているのでしょうか。


「暑中コンクリート」の研究は進んでいる

コンクリート温度問題に関しては様々な地域や団体で研究がされており、特に大阪、奈良、愛知における研究はZENNAMAの生コン技術大会で論文発表がされています。それらの各研究で共通して結論付けていることとして、コンクリート温度が35〜38℃の場合でも35℃以下の場合と性能は変わらない、という結果なのです。

スランプの低下に関しては確かにあることはありますが、通常の運搬時間範囲内であれば大きな問題とはなりません。むしろ打設にかかる時間を短縮できるように発注するスランプをなるべく大きくする(施工性を良くする)などで解決でき、コールドジョイントの発生を防ぐことが可能です。また、強度に関しても38℃までは全くと言っていいほど変化はなく所定の強度が出ることが確認されています。


何も対策を取らなくてもいいのか?

とはいえ、何も対策を取らなくても良いということではありません。JASS5や示方書でも対策を取ることは求めています。ですので夏場のコンクリート打設が決まったら施工者側と生コン工場側が協議をすべきです。有効な対策としては、混和剤に遅延型の高性能AE剤を使用したり、使用骨材に散水するなどで温度を下げる、打設時間を考慮するなどが挙げられます。また、ミキサー車にドラムカバーをしカバーにも散水をするのも非常に効果的です。そういった対策を取った上で35℃を超える分には許容されても良いのではないでしょうか。

また、前述のZENNAMA生コン技術大会において「ミキサー車のホッパーカバーを開けると温度上昇を抑制できる」という研究結果もあり、晴れた日にはカバーを開けても異物の混入が無いように網目状のシートを装着するなどの工夫をすることも効果がありそうです。


生コン工場は今まではどうしてたのか?

では、現状を含めて今までの生コン工場はどう対処していたのでしょうか。もちろん骨材への散水をしたり、ドラムカバーをする、ミキサー車に遮熱塗装を施すなどの対策はよく取られています。また入荷直後のセメントは熱を持っているので、入荷直後のものではなく数日前に入荷したセメントを使用するのも効果があり実施されています。

そして最後に、受入れ試験時には実際の温度が出ないように設定された「マイナス温度計」を使用しています。これはメーカーに頼めば「−2℃設定」「−3℃設定」の温度計を入手することができるのです。裏を返せば、受入れ試験の結果が34℃だった生コンは、実際は36℃や37℃の生コンだったわけで、強度なども問題がなかったということになるのです。


コンクリート温度は38℃までは容認される?

暑中コンクリートのコンクリート温度に関する記述は、JASS5と標準示方書ともに改訂作業が行われており、来年度あたりには改訂されると思われます。どういう記述になるのかはまだ不明ですが、上記のような研究が進んでいることや実際の気温の上昇を考えると、38℃までは容認されることになるのではないでしょうか。そうなれば生コン工場としても、マイナス温度計の使用など詐欺めいたことをすることなく、堂々と受入れ試験ができるので安心ですし、施工者側も強度不足などの不安要素がなくなることになります。

 

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